東武30000系は、1996年に登場した通勤型車両です。当時計画されていた営団(現東京メトロ)半蔵門線直通運転に対応、乗り入れ先の仕様に合わせて東武初のワンハンドルマスコンを採用しました。2003年の半蔵門線との相互直通運転開始の7年前から製造が開始されているのですが、これは当初予定されていた1999年度の半蔵門線押上駅延伸に併せて、東武では初採用となるワンハンドル車両について乗務員習熟を進める目的もあったそうです。
当初導入された伊勢崎線(スカイツリーライン)の浅草~曳舟間は10両編成が入線できないこと、西新井工場または杉戸工場への検査入場の際に10両固定編成だと入線が不可能であることを理由に、10両固定編成での製造はあえてされませんでした。
2003年の伊勢崎線(スカイツリーライン)と半蔵門線との相互直通運転が始まると、当初の計画通り半蔵門線にも実際に乗り入れ、さらに東急田園都市線にも直通し東武の車両が営業運転で初めて神奈川県にも行くようになったのです。
2005年には、同じく半蔵門線直通に対応した50050系の導入が発表されました。これは30000系が6+4に分割できる構造が運用上ネックになっていたほか、定員が東京メトロ車や東急車に比べて少ないこと、中間にくる先頭車の実質的なデッドスペースが半蔵門線や東急田園都市線内での混雑が激しい路線には30000系にとっては不向きな環境だったことが理由にあげられます。
このことから50050系が登場すると順次地上線に転用されていき、さらに2011/1からは東上線への転属も開始されました。これは東上線車両の改修工事の効率化を目的としたものとなります。
地下鉄直通対応に向けて登場したはずの30000系がわずか短期間で地上線へと転用されてしまうというのは・・・。厳密に言えば、分割対応構造故の中間にくる先頭車の実質的なデッドスペースが仇となったようですね・・・。
最後までスカイツリーラインに残った20両も2020年と2021年に東上線に転属したことにより、2021年をもって全車が東上線に転属したことになります。ここでは、中間に来る先頭車の運転台は撤去されて10両固定編成扱いで使用されています。東京メトロ半蔵門線や東急田園都市線で使用されていたATC装置については、2015年の東上線ATC使用開始の後ここで威力を発揮しているようです。
▲東急田園都市線を走る30000系。スカイツリーラインでの末期は20両が半蔵門線・東急田園都市線直通運用に充当されていました。
▲東上線での30000系。ここでは10両固定編成扱いで運用されています。2021年の31609+31409編成の同線転属をもって、この電車は全編成が東上線に集結しました。
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